こんにちは!教育アドバイザーの梨紗です。
受験生の親御さんなら、一度は(あるいは毎日)直面する光景ではないでしょうか。つい「やる気がないの?」「意志が弱いの?」と子どもを責めてしまいそうになりますが……。
梨紗先生でも、どうかお子さんを責めないでください!
勉強をサボるのは、意志が弱いからではありません。
心の中に「サボり虫」が潜んでいるだけなのです。
「サボり虫」という考え方で、親子喧嘩が激減!?
「ゲームで遊びたいな」「少しぐらいならテレビを見ても……」
そう思うのは、子どもの心が怠けているからではありません。誰の心の中にも、サボり虫が潜んでいます。大人も同じです。仕事を始めようとした瞬間になぜか机の上を片付けたくなる——あれも立派なサボり虫の仕業です。
大人であっても簡単に誘惑に負けてしまうのです。まだ小学生の子どもが、次から次へとやってくる「甘い誘い」に引きずられるのは当然です。つまり、問題は、子どもの「性格」や「人格」ではなく、「脳の仕組み」や「環境」にあるのです。
そこで、親も子も、こんな風に考えてみてはどうでしょうか?
「自分が悪いのではなく、虫が出てきただけ」と。
- 「サボりたい気持ち」を自分自身(人格)と考えない
- 「サボり虫」という名の、心に棲む別人格として扱う



50日間の逆転合格を成し遂げた我が家のみみちゃんも、自分自身の中に潜む「サボり虫」の存在に気づいた日から、少しずつ変わっていきました。
「お兄ちゃんと遊びたいな」「もうちょっと休憩したいな」という気持ちが湧いてきたとき、「サボり虫が出てきたね」と言葉をかえるだけで、子どもは「私はダメな子だ」という自己否定に陥らなくて済みます。
ここで大切なのは、言葉の使い方です。
「なんで勉強しないの!」と叱ると、親と子は敵対関係になります。でも「今日はサボり虫が強いね」と言うだけで、根本から構図が変わるのです。
この瞬間、二人は共闘するチームになれるのです。
親が「叱る敵」から「一緒に戦うチームの仲間」になることで、子どもは素直にアドバイスを受け入れられるようになります。
入試の「本当の目的」とは?中学校が欲しいのは「自律できる子」
それでは、なぜ、サボり虫退治がそれほど重要なのでしょうか。
それは、中学入試の「本当の目的」に関わっています。



私はこれまでライター・教育アドバイザーとして、東大寺学園、洛南、大阪星光など、関西御三家・最難関と呼ばれる学校の先生方に、直接お話を伺ってきました。
どの先生方のお話にも共通するのは、中学入試は、「勉強ができるかどうかをテストしているのではない」という事実です。
中学入試はもちろん学力試験ですが、各中学校が本当に欲しがっているのは、単に知識を詰め込んだ子ではありません。入学後も、自分で学び続けられる子です。つまり、自分の中のサボり虫を自分で退治できる「自律心」を持った子どもなのです。
中学入試に必要な学力を手に入れるために必要なのは、「毎日机に向かう力」。
それはすなわち、
- 嫌なことから逃げない力
- 誘惑を自分で断ち切る力
- うまくいかないときに立て直す力
に他なりません。
これらがなければ、どれだけ知識を詰め込んでも、合格に必要な学力は積み上がりませんし、ましてや、入学後に伸び続けることは不可能です。学校側はその土台の有無を、入試の場で見ています。
受験勉強とは、学力を積み上げる作業であると同時に、自律心を育てる訓練でもあるのです。
入試の勉強を通じて「自分の中のサボり虫を自分でコントロールできる力(=自律心)」を築き上げること。これこそが、受験をただの苦行ではなく、一生の財産にする分かれ目だといえるでしょう。
実践!「サボり虫やっつけリスト」を作ろう
サボり虫は、完全に消し去ることはできません。では、具体的にどうすればいいか。
大切なのは、「出てきたときにどう対処するか」の仕組みを事前に決めておくことです。
お子さんと一緒に、「自分専用のサボり虫退治リスト」をノートに書いてみてください。
サボり虫が出てきたとき、自分ならどうやって倒すか。あらかじめ作戦を立てておくのです。
📝 サボり虫のやっつけ方の例
- 「とりあえず5分だけ」タイマーをかけて机に座る
- 鉛筆を持って、最初の1問(簡単なもの)だけ解く
- 鏡を見て「うしろめたい顔」をしていないかチェックする
- 「サボり虫め!」と声に出して言ってみる
- 「今からサボり虫と戦うぞ!」と宣言する
どれが正解かはありません。お子さん自身が「これならできる」と思えるものが、そのお子さんの退治法です。
ポイントは、親が決めるのではなく、子ども自身に考えさせることです。自分で決めたルールは守りやすい。その小さな成功体験が、まさに自律への第一歩になります。
リストができたら、机の前など目に見える場所に貼っておきましょう。サボり虫が出てきたとき、そのリストを見るだけで、子どもは自分で動き出せるようになります。
まとめ:最強のセーフティネットは、親の「!」
最後に、「サボり虫退治」を成功させる一番大切なことをお伝えします。
自律を育てるとは、「子どもを突き放して一人でやらせること」ではありません。
私が子どもたちのノートの最後に必ず書き添える一文があります。
この一文を、ぜひ親御さん自身の直筆で、お子さんのノートに書いてあげてください。
印刷でも、LINEでも、口で言うのでもなく、手書きで。
子どもは、あなたの字を見ます。筆圧を感じます。「!」に込められた気持ちを受け取ります。
自律を求めるからこそ、親は絶対に折れない「心の安全地帯」でなければなりません。
「サボり虫に負けちゃった……」と泣きついてきたとき、「何やってるの!」と突き放すのではなく、「そっか、今日は虫が強かったね。次はどう戦おうか?」と温かく受け止める。
その安心感があるからこそ、子どもは翌日また立ち上がれます。
逃げ場がある子は、また前を向けます。安心できる場所がある子は、何度でも戦えます。そして、その積み重ねが、やがて本物の自律へとつながっていくのです。



サボり虫は、退治しても退治しても、また出てきます。
それでいいのです。
出てくるたびに戦う。その繰り返しの中で、子どもは少しずつ、自分の力で立てるようになっていきます。
入試当日、試験会場でお子さんの隣に座れるのは、私たち教師でも親御さんでもありません。
でも、心の中に「大好きな人の優しい言葉」を持った子は、決して一人ではありません!
サボり虫退治は、一朝一夕にはいきません。でも、親子でこの「虫」の存在を共有できたとき、中学受験はただの数字の奪い合いではなく、一生モノの自律心を育む「最高の成長機会」に変わります。
もし、「サボり虫」が強すぎて、どう対処すればよいか迷ったとき、毎日の親子喧嘩に、疲れてしまったときは、ひとりで抱え込まずに私にLINEで相談してくださいね。
サボり虫の退治法は、お子さんによって違います。お子さんの性格や学習状況に合わせて、一緒に退治法を考えていきます。プロの視点から、ご家庭に合わせた「サボり虫退治のアドバイス」を提案します。
この記事は、kosodate.funの連載「50日間の逆転ストーリー」第10話と連動しています。実際に「サボり虫」にとりつかれ、カンニングした娘の過去問を裁断して対策したエピソード、親子の激闘と奇跡の物語は、こちらからお読みいただけます。
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